「食から始まる健やかな暮らしを」添加物を抑えた手作りパンへの情熱。香麦・店主の覚悟
香麦
埼玉県南埼玉郡宮代町。緑豊かな田園風景が広がる静かな住宅街に、知る人ぞ知る隠れ家的なお店「香麦(こむぎ)」が佇んでいる。ハーブの香るアプローチを通り抜け、手作りのテラス席を横目に暖簾をくぐると、焼きたてパンの芳しい香りと木の温もりに包まれた空間が迎えてくれる。
ここで提供されているのは、単にお腹を満たすためのパンや料理ではない。添加物を極力抑え、手作りの温もりにこだわった「心も体も健やかになる食」の体験だ。
原体験と葛藤
店主が「自分の手で本当に体に優しい食を届けるお店を開きたい」という想いを抱いたのは、20年も前のことだった。
忙しい現代社会の中で、手軽に手に入る市販の食品やパンには、効率や保存性を優先するあまり多くの添加物が使われている現実がある。自身や家族の健康に向き合う中で、店主の中に「毎日口にするものが自分たちの体を作っているのに、このままで良いのだろうか」という深い疑問と葛藤が膨らんでいった。
「大切な家族や地域の人々に、安心して食べてもらえるものを作りたい。食べた人が笑顔になり、体も心も元気になる食を自分の手で届けたい」
その強い信念を抱き続け、20年越しの夢を結実させる舞台として選んだのが、馴染み深いご実家だった。長年の想いを胸に、店主は理想のお店づくりへと踏み出した。

独自のこだわり・技術・サービスの真髄
「香麦」の食づくりは、一切の妥協を許さない手間暇をかけた手作業から始まる。
パン作りにおいては保存料などの添加物を極力使用せず、小麦本来の豊かな風味と素朴な旨みを丁寧に引き出す。じっくりと炊き上げた自家製あんこが詰まった「大福あんぱん」や、手作りの果実ジャムをあわせたベーグル、麦の力強い香りが広がるカンパーニュなど、並ぶパンにはどれも作り手の温かな情熱が宿っている。また、パンだけでなく無添加の手作り惣菜「香膳」や、グルテンフリーの焼き菓子まで幅広く手掛け、健康を気遣う人々のニーズに応えている。
店舗の空間もまた、店主の美学が詰まった場所だ。ご主人とともに実かをセルフリノベーションし、天井を取り払った開放的な吹き抜けや印象的なブルーのドアなど、心地よいカフェ空間を作り上げた。現在ではご主人も店主の指導のもとでパンの成形や焼成をともに担い、自家菜園で育てた新鮮な野菜がメニューを彩るなど、夫婦二人三脚で唯一無二のお店を育んでいる。
お客様との向き合い方・アフターフォロー
「香麦」が大切にしているのは、買い物の時間そのものが訪れる人の癒やしになるようなアットホームな接客と環境づくりだ。
アレルギーを抱える子ども、健康意識の高い年配者、さらには愛犬と一緒に訪れる人にも楽しんでもらえるよう無添加の犬用クッキーを用意するなど、訪れる一人ひとりの暮らしに寄り添う配慮が散りばめられている。
さらに、近隣の人々だけでなく遠方に住むファンに向けても、オンラインショップを通じた発送を展開。「自宅にいても香麦の優しい味が楽しめる」と全国から喜びの声が届いている。店舗でのひとときから自宅での食卓まで、一貫してお客様の健康で豊かな暮らしを支え続けているのだ。
今後の展望・メッセージ

「『香麦の食を食べると、なんだか元気になる』と地域の方々に頼られる存在であり続けたい」と店主は語る。
今後はさらに技術や工夫を重ねながら、手作りならではの美味しさと健やかな食文化を広めていくことが目標だ。セルフリノベーションした温かな空間で、季節の移ろいを感じながら体に優しい食を味わう贅沢な時間。
「忙しい毎日に少し疲れたときは、ぜひ温かなパンと料理で心を休めにきてください」
食を通じて心と体を満たす「香麦」の挑戦は、これからも地域と人々の暮らしを優しく照らし続けていく。
取材・文=みつかるグラム編集部

「適正価格で美味しいものを」─こだわりの一皿で街を温める。DELTA 人形町・店主の歩み東京都 中央区
「売れない不動産はない」──敬遠される訳あり物件に光を当てる。グランフィード・中島さんの信念東京都 千代田区
「髪が変われば、前を向ける」──鏡の前で紡ぐ確かな自信。via nova・オーナーの想い東京都 江戸川区
